日本酒を好きな人はもちろん、あまり得意じゃない人も一度は耳にしたことがあろう「山廃(仕込み)」。日本酒の呼び方の中で何か”高級”な感じのする「山廃仕込み」ってそれじゃいったい何なんでしょうか?
 日本酒になる前を「醪(もろみ)」と言います。この醪のもと、まあ簡単に言うとお酒のたねですね、酒母と言いますが、日本酒造りはここから始まります。この酒母(=もと)造りが日本酒の醸造過程で最も大切で重労働です(正確には、だったんです)。
 現在では、酒瓶の裏側に張ってある成分表(さしずめ、その日本酒の身分証明書ですね)を見ると、使用酵母は協会○○号というように”協会酵母”が主流を占めています。なぜかというと、協会酵母を使用することによって乳酸を一定値に保つことができます。乳酸値が高いと清酒酵母以外の雑菌は繁殖しにくいのです。つまり、酒米が融けやすく醗酵が速いことを意味します。そしてこれは”速醸もと”と言って”もと”の仕上がりまで約2週間程度でいいのです。
 一方これに対して昔は、櫂(かい)と呼ばれる道具で蒸米を山のように積んですりおろす作業「山卸」があり、すりおろすことで乳酸菌の働きを活発にする作業でとても大事で、とても重労働だったそうです。ところがすりおろさなくとも麹から溶け出した酵素を蒸米にかけて混ぜるだけで蒸米が溶けてしまい”もと”ができることが発見されて今日に至っています。つまり山卸を廃止した仕込み方法、これが「山廃仕込み」なのです。仕込み自体は楽になりましたが、杜氏の長年の経験と力量が問われることとなりますね。この”山廃もと”は仕上がりまで約1ヶ月程度を要し、そのため風味は芳醇でキレのあるしっかりしたお酒が出来上がるようです。
 つまり「山廃仕込み」は昔からの伝統の醸造法であり、こだわりの蔵元の証なんでしょうね。


刈穂 山廃純米 超辛口
原料米 山田錦/トヨニシキ
精米歩合 60%
日本酒度 +12
アルコール度 15.8%
価格
720ml   1,418円
1.8L 2,646円

蔵元定番のお酒。+12の超辛口の日本酒度が”きれ”と”こく”のバランスを見事に調和させました。山廃仕込みだからこそできた軽快な中にもある深い味わいをお楽しみください。

飛良泉 山廃純米酒
原料米 美山錦
精米歩合 58%
日本酒度 +4
アルコール度 15~16度
価格
720ml 1,533円
1.8L 2,783円

蔵伝統の山廃仕込みをかたくなに守った純米酒。山廃独特のフルーティーな香りとあと味の良さ、多くの方に支持されているお酒です。秋田県産酒ではあまりないタイプのお酒でそれがかえって新鮮に感じます。

由利正宗 山廃純米 隠し酒    
原料米 美山錦
精米歩合 60%
日本酒度 +5
アルコール度 15~16度
価格 500ml  1,050円

山廃独特の爽快感に古酒(5ヵ年熟成)特有の熟成香とが混ざり合いひと味違った純米古酒となっています。果物が燻製された香りに近いものがあり、ぬる燗にした時の立ち上るまろやかな熟成香を楽しんでもらいたいお酒。

北鹿 秋田流山廃純米 雪の十和田
原料米 美山錦
精米歩合 65%
日本酒度 +1
アルコール度 15~16度
価格 720ml  1,134円

秋田県の中でも特に寒さが厳しい北秋田の厳冬期に仕込まれた、山廃仕込みの中ではお買い得な商品です。山廃の中では味わいは比較的にマイルドで、ぬる燗で飲むと旨みが一層引き立ちます。